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Game*Sparkレビュー:『MindsEye』美麗なグラフィックや映画的演出など賞賛すべき点はあるが、ゲーム内容に多くの不満と問題が残る作品だ

何かと話題の元『GTA』プロデューサーによるアクション大作を正直レビュー。真相やいかに?

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『MindsEye』美麗なグラフィックや映画的演出など賞賛すべき点はあるが、ゲーム内容に多くの不満と問題が残る作品だ
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2025年6月11日、PC/コンソール向けに近未来アクション大作ゲーム『MindsEye』が発売されました。制作したのは『GTA』シリーズでプロデューサーも務めたロックスター・ノース元社長が率いる新スタジオBuild A Rocket Boy。この事実だけでも、「もしや『サイパーパンク2077』的な近未来が舞台のGTA風ゲームが遊べるのか?!」と、期待に胸が膨らみますよね。

鳴り物入りとして登場した本作は、話題性も抜群で発売直後から人気が爆発!……とはなりませんでした。そして実際にフタを開けてみると、なんと酷評の嵐、嵐、嵐…!執筆時点(6/16日時点)において、Steamレビューは「やや不評」の大荒れ状態。さらには、SNSや海外掲示板など各所で「未完成タイトルではないか」と厳しい意見が噴出しています。


今回は、そんなゲームの“真相”を確かめるべく、良い点と残念な点を忖度なしにレビューしていきたいと思います。なお筆者は、キャンペーンモードをクリア済みでの感想となります。

また本稿は、ストーリーやプレイ内容について触れているので、閲覧には十分ご注意ください。

“賛否両論”のSFアクション・アドベンチャー大作

そもそも『MindsEye』とはどんなゲームなのか、概要をザックリとご紹介します。

本作は、シングルプレイ専用の三人称視点アクションアドベンチャーゲームです。テクノロジーがすべてを支配する砂漠の都市・レッドロックを舞台に、プレイヤーはジェイコブとして、断片的な記憶をたよりに、暴走するロボットや軍事力に立ち向かいながら、人間の思惑と欲望が交差する真実を解き明かしていきます。

シネマティックな没入型ストーリー体験

本作は、リニア形式のシネマティックなストーリーが見どころのひとつ。Unreal Engine 5の高精細なグラフィックスで描写される人物の細かな表情や仕草、そして個性豊かなキャラクターたちの織りなすドラマが没入感を高めています。

また、爆発やカーチェイス、銃撃戦などが盛り込まれたド派手なカットシーンの数々は、まるで一本のハリウッド大作映画を見ているような満足感がありました。

主人公のジェイコブは、謎の神経プラント「MindsEye」を埋め込まれ記憶を失ってしまった元兵士。砂漠の大都市であるレッドロックで新たな生活を始めるも、やがて企業と市長の争いと陰謀に巻き込まれてしまい、ロボットや軍隊が反乱を起こす最中、自らの過去を突き止めるため戦いに身を投じていく…という、既視感のある壮大なストーリーが展開します。

ただし、完全リニア形式でゲームは進行していき物語の分岐などはないので、プレイヤーは一本道でストーリーを進めることになります。これを自由度が低いと感じるか、緻密に設計されたシネマティックなゲームだと感じるか、評価が分かれるポイントでしょう。

白熱する激しい戦闘アクション

戦闘はカバーアクションが主体のTPSです。 遮蔽物に隠れることは可能ですが、接近戦での格闘もゲリラ撃ちすらも出来ない非常にオーソドックスな設計になっています。他にも、小型ドローンを操縦して敵を攻撃したり、カーチェイス中の銃撃戦など白熱した戦闘アクションを楽しむことができます。

言うほど悪くない?「賛否両論」のゲームプレイ

肝心のゲームプレイの部分に関しては、とくに革新性があるわけでもなく、作り込まれているわけでもなく、あまり楽しくなかったというのが筆者の率直な意見です。

しかし、Steamレビューを見てみると、「車両の運転は楽しめた」とか「グラフィックの作り込みが凄い」など、賛否両論になっており、言うほど悪くないのかもしれません。では、実際にプレイしてみてどうだったのか?良い点と悪い点を以下に書き出してみましょう。

ココが良かった!賞賛すべき5つの点

1.美麗なグラフィック

筆者が感じた本作の良かったポイントを5つ挙げていきます。繰り返しになりますが、作り込まれた美しいグラフィックはたしかに素晴らしいです。

人物や風景など世界に配置されたさまざまオブジェクトは、正確なライティングと高品質なテクスチャによってリッチに表現されていました。また、カットシーンであろうとゲームプレイ時であろうと、描写のクオリティは変わらずシームレスな没入感があったのも良かった点でした。戦闘シーンにおいて、爆発や銃撃などのエフェクトは特に注力されていて、かなり華やかで見応えがありました。

2.レッドロック・シティの世界観と作り込み

2つ目は、本作の舞台である「レッドロック」の世界についてです。モデルとなったラスベガスの雰囲気と、テクノロジーが発達した近未来感をうまく融合している点は賞賛できます。ただし、『サイバーパンク2077』に比べると個性やオリジナリティが足りず、『GTA』のような広大さと複雑性、スケール感を期待するとガッカリしてしまう、なんとも中途半端な規模の箱庭感がありました。

また、「レッドロック」の街並みの作り込みは見事で、これは手放しに賞賛できるポイントだと思います。たとえば、昼間は砂漠の荒野が広がって、夜になるとギラついたネオンの街並みに変化していくダイナミズムがあります。

とくに、ドローンで上空から街の壮大な景色が眺めるのは非常にワクワクしました。

さらに、監視カメラが作動していたり、ロボット清掃員が道を掃除していたり、NPCが歩き回っていたり、渋滞が起きていたり……、街のディテイールは特に手が込んでいて、「生きたレッドロックの世界」を感じ取ることができました。

3.映画的手法を取り込んだストーリー

3つ目は、映画的な演出が光るストーリーです。主人公ジェイコブが埋め込まれた「MindsEye」の謎を巡る個人的な復讐劇に始まり、人類の存亡を賭けた壮大な戦いに発展していくシナリオは、爆発ありカーチェイスあり、そして重厚な人間模様のドラマありで、ジェットコースターのように一気に駆け抜けていき、大作映画を見ている気分にさせてくれました。

4.クリエイティブな「ビルド機能」

本作でひと際異彩を放っていたのは、クリエイティブな「ビルド機能」です。この機能を使えば、プレイヤー自らコンテンツを創造して遊んだり、公開して他のプレイヤーに共有することが可能になります。

ゲーム内のアセットはかなり豊富にあり、かつ機能性もふんだんに用意されているので、NPCや車両などオブジェクトを好きなように配置したり動かせるようになります。これが意外とクリエイティブで楽しく、創造性を刺激されました。

もちろん、実際にプレイすることも可能。敵NPCの数を増やしてランチャーで一掃したり、無駄にデカくして鬼ごっこしてみたり…自由に遊べました。これは確かに『GTA』にも『サイバーパンク2077』にも無かった独自要素です。


開発元のBuild A Rocket Boyは、『Everywhere』というプラットフォームにおいて、こうした機能を提供しようとしていたようで、そのシステムが本作でも良い方向に活かされていました。

また、今後公式による新ミッションやチャレンジコンテンツも追加され、『ヒットマン』シリーズとのコラボミッションも2025年7月に実装される予定となっています。

5.フリーロームで自由にお散歩

最後は、クリア後にアンロックされる「フリーローム」です。その名の通り、レッドロックの世界を自由に探索できるモードです。ただし……

マジで誰なんだコイツは

なぜか操作できるキャラはジェイコブではなく、ストーリーとはまったく関係のない見知らぬ白髪交じりのオジサン。しかも、変なフェイスマスクをかぶり、サイズ感の間違った変なタンクトップを着用し、ぽっこり出たお腹にはなんかメッセージが書いてある変態仕様。ヤバすぎて意味がわからない

その上、装備品もSMGのみで、ドローンすら所持していない状態で開始します。また、時間帯は夜に固定されており、開始ポイントの車以外に自由に乗降できる乗り物はナシ、当然マップも確認不可という不自由さ極まりない仕様です。

一応、フィールド上にはさまざまなミニゲームで遊ぶことができますが、キャラが喋ったりすることもないうえ、犯罪行為での手配度概念もないため非常に空虚であり、まったく楽しくありません。

むしろ、なんでこれを実装したの?と問いたくなるクオリティでした。上記の「ビルド」機能のほうが色々と細かくミッションを作成できるのでまだマシだと思います。

多くの不満と問題点が残るゲームプレイ

さて、ここからは筆者が感じた多くの不満点と問題点について述べたいと思います。

1.最適化不足(PC)

まず一つ目は、PC(Steam)版におけるゲームの最適化問題です。グラフィックカードは最低でもNvidia GeForce RTX 2060およびAMD Radeon RX 5600 XTが必須で、推奨スペックはNvidia GeForce RTX 4070 / AMD Radeon RX 6800 XTが必要になり、そもそもプレイ環境のハードルが高めです。

しかしSteamレビューでは、推奨スペックを満たしているにもかかわらず強制終了してプレイできなかったり、重くてカットシーンがカクついて流れる、といった意見が見られます。

設定「高」の場合まともにプレイ出来ない

筆者も推奨スペックと同等の環境でプレイしましたが、たしかに挙動は重かったですし、とくに描画物の多い都市部でのカーチェイスシーンや、戦闘シーンでカクつきやフリーズが多発。そこで、泣く泣く画質のプリセットを「低」まで下げてみると、なんとか普通にプレイできました。高品質なグラフィックが数少ない取り柄なのに……。

ムービーは基本スキップできない

そして一番不満だったのが、カットシーンのスキップ機能が無かったこと。本作はチェックポイント地点がかなり適当に設定されており、ただでさえ魅力の乏しい掛け合いを何度も見せられるのは苦痛でした。

2.操作性と機能性の悪さ

次は操作性の問題です。そもそもスティック入力の感度が悪く、移動や車両に乗り込む際にNPCやオブジェクトに引っかかることがあって不快でした。また戦闘シーンにおいては、遮蔽物に隠れるカバーアクションが上手くいかず蜂の巣にされることもしばしばあり、戦闘のダイナミックさやテンポを台無しにしていました。

そして機能性の悪さも随所に見られます。たとえば、ミニマップはありますが全体マップは存在しません。目的地へ向かうミッションでは方向が分からず何度も失敗してまいました。一応オープンワールド的なマップデザインなのに、街全体の構造を把握できなかったのは辛い。

それなりにUIやメニューは見やすくデザインも洗練されていましたが、そもそも成長要素や装備品などのアイテム自体ないため、非常に味気ないゲーム体験でした。

3.自由度の低さ

3つ目は、探索の自由度が極端に低いことです。まず本作は、ガチガチのリニア形式で進行するので、ストーリーミッション以外で街を自由に歩き回る機会がありません。『GTA』ではミッション中でなければ、プレイヤーの好きなように気ままに動くことができますが……。

炎のランナー

他にもあるミッション中、乗ってきた車両が前触れもなく消失するバグが発生し、走って元の場所まで帰らざるを得なくなる事件が発生。

しかし、制限時間があるためどうやっても到達は不可能で、結局最初からミッションをやり直す羽目に……。こういった感じでとにかく融通が効かない窮屈なゲームプレイが続きました。

せっかくレッドロックの街や荒涼とした砂漠地帯など、精緻に作り込まれたロケーションがあるのに非常に勿体ないと思います。フリーロームやビルドで思う存分勝手に楽しめ、ということかもしれませんが、そもそも『GTA』と比較すると、プレイヤーが取れる行動も少ないのですぐに飽きてしまうでしょう。

4.退屈な戦闘システム

戦闘はカバーアクショ主体のシューティングですが、ただ遮蔽物に隠れながら射撃するだけの単調でつまらないものでした。というのも、ステルスで敵の裏をかいたり、ゲリラ撃ちをして応戦したりといった複雑なアクションができなかったことや、敵の行動も単純で刺激もなく、射撃の気持ちよさも爽快感も無かったことに起因していました。

一応使える武器はSMGからスナイパーライフル、ランチャーまで用意されていますが、ゲームが進むと勝手に種類が増えていくうえに、それぞれの武器パーツを交換したり、アップグレードさせる要素はないので、とてつもない虚無感に襲われました

とはいえ、カーチェイスでの銃撃戦やドローン攻撃などそれ以外の戦闘も用意されています。しかし、カーチェイスに関しては『GTA』のように警察が介入してくるわけでも無く、ある程度決められたルートを追いつかれないよう逃げるだけなので緊張感もあまり感じません。相棒ドローンを使った攻撃も実際に使用する場面も少なく、戦闘において有利になるわけでも無かったので、必要性をあまり感じませんでした。

5.説明不足のストーリー

肝心のストーリーも描写不足、説明不足が目立っていました。完全なるネタバレになるため詳しくは伏せますが、物語の核である「MindsEye」というインプラントの謎、未知文明とジェイコブの関係は最後まで明かされないままであるし、エンディングも「え、コレで終わり??」と思うくらいアッサリと終わります。伏線が回収されず、投げっぱなしのようなシナリオはどう考えても未完成で、無理やりこじつけた雰囲気をビンビン感じてしまいます。

それと地味に嫌だったのは、カーチェイス最中の字幕。そもそもミスが出来ない状況下で、ゆっくりとキャラ同士の会話を聞いてる余裕もないし、字幕の翻訳精度もあまり出来がよくありません。『GTA』や他作品でも使われる演出ですが、そもそも本作ではこのカーチェイスミッションが多すぎて、見逃してしまうことも多々あり、ストーリーを上手くプレイヤーに伝えきれてない印象を受けました。

キャラクターの魅力が不足しているのもマイナスポイントです。本作のヒロイン的立ち位置の「チャーリー」は、見た目はチカーノギャング×パンクっぽくてカッコいいとは思いますが、言葉遣いや態度が下品であまり可愛いと感じられなかったのです。

『GTA5』のトレバーや『サイバーパンク』のVなど、名作と呼ばれるゲームには魅力的なキャラクターがいるものです。その点に関しても、本作の登場人物に魅力的なキャラクターというものが見当たらなかったことも残念でした。

総評

本作は、洗練された美麗なグラフィックで描かれたビジュアルと、ディストピアな近未来を舞台にした壮大なストーリーは一定以上の品質に到達しており、賞賛するべき素晴らしい点です。

しかしながら、明らかな最適化不足や操作性の悪さ、自由度の低さや寄り道要素の少なさ、単調な戦闘の繰り返しやアクションのしょぼさなど、ゲーム内容に数多くの残念な点が見受けられました。

厳しい言い方をすれば、本作は「ガワ」だけはそれなりに良く中身がハリボテのような空虚なゲームである、と個人的に判断しました。正直なところ、フルプライス(6,700円)の価値はまったく無く、現時点でオススメできないゲームです。


Game*Spark レビュー 『MindsEye』 PC(Steam/Epic Gamesストア)/海外PS5/Xbox Series X|S 2025年06月11日リリース

美しいビジュアルと世界観、映画的手法を用いたストーリーなど賞賛すべき点はあるが、全体的に作り込みが甘く不具合が目立ち、ハリボテのようなプレイ感覚に虚無感が漂う。現時点でオススメできない未完成作

GOOD

  • 美麗なグラフィックと市街地の作り込み
  • 「ビルド」機能などの独自コンテンツ

BAD

  • 操作性が悪くストレスになる
  • 探索の自由度が極端に低い
  • 戦闘が単調で面白みに欠ける
  • クラッシュやフリーズなど最適化に問題あり(PC版)

編集:みお

編集/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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